本文へスキップ
株の損切りの基本|タイミング・位置・心理の3つをおさえるのアイキャッチ
公開 2026/4/11・更新 2026/9/5

株の損切りの基本|タイミング・位置・心理の3つをおさえる

株トレードで退場しないための必須スキル『損切り』。損切りラインの決め方、実行のコツ、感情に負けないための3原則を実戦的に解説します。

#初心者#リスク管理

この記事でわかること

・損切り(ロスカット)とは何か、なぜ「最重要スキル」と言われるのか

・損切りラインの決め方3パターン(固定割合・テクニカル・ATR)

・感情に負けずに実行するための3原則と、やってはいけないNG行動

この記事に出てくる用語:損切り/ナンピン/指値注文/退場

株式トレードで最も重要なスキルは損切りと言ってよいほど、損切りは大切です。相場から退場してしまう人の多くは「損切りができなかった」ことが原因と言われます。この記事では、質問役のアゲハと一緒に、損切りの基本を3つの観点から見ていきましょう。

損切りとは

アゲハ
サチ先生。「損切り」って損してる株をわざわざ売るんでしょ?
サチ先生
はい。[損切り](/glossary/stop-loss)(ロスカット)は、含み損のあるポジションを自分の意思で決済して、損失を確定させることです。
アゲハ
確定してないなら、まだ損じゃないってことでしょ。持ってればいつか戻るかも。
サチ先生
わたしは、船の底に空いた小さな穴だと考えています。「まだ沈んでないからセーフ」で放置すると水は増え続けます。
サチ先生
穴が小さいうちにふさぐ=損が小さいうちに確定することが、長く相場に残るための土台とされています。

「損が出ているのに自分から決済する」という逆の行動に見えるため、多くの初心者が損切りを先送りにしてしまいます。しかし、小さな損を早く確定することこそが、長く相場に残るための土台になります。

なぜ損切りが必要か

損切りを避けると起こりやすいことを整理する。

1. 塩漬けは機会損失

「塩漬け」とは、含み損の株を売れずにずっと持ち続けてしまう状態のことです。

アゲハ
持ってるだけなら、別に損は増えないでしょ。
サチ先生
問題は、お金が「動けなくなる」ことですね。次の良いチャンスが来ても買えません。
サチ先生
これを機会損失と言います。席をずっと占領されているようなもの、と考えると分かりやすいです。

とくに怖いのが、悪いニュースをきっかけに株価が一気に下がるケースです。「そのうち戻るだろう」と待っているうちに、下落が続いてしまうことがあります。

悪材料ニュースをきっかけに株価が急落するチャートの例

2. 損失は指数的に増える

10%の損失を取り戻すには11%の上昇、50%の損失を取り戻すには100%の上昇が必要です。損失が大きくなるほどリカバリーは困難になります。

損失率ごとに元の資金へ戻るために必要な上昇率を比べた棒グラフ。10%の下落は+11%で戻れるが、50%なら+100%(2倍)、80%なら+400%(5倍)が必要
損失率 必要な回復率
10% 11%
20% 25%
50% 100%
80% 400%
アゲハ
えっ。50%下がった株って、50%上がれば元に戻るんじゃないの?
サチ先生
そこ、直感とずれるんです。1000円の株が50%下がると500円。そこから50%上がっても750円。
サチ先生
元の1000円に戻すには、500円から2倍(+100%)の上昇が必要になります。だから「傷が浅いうちに退く」ことに意味があります。

3. 精神的な消耗

含み損を抱え続けると、頭の片すみでずっとその株のことが気になって、判断力が鈍ります。他のトレードでもミスが増えやすくなるので、メンタルを守るためにも損切りは必要です。

損切りラインの決め方 3パターン

損切りライン(=ここまで下がったら売る、という価格)の決め方には、大きく3つのパターンがあります。同じ値動きに3つを重ねて置くと、深さの違いがイメージしやすくなります。

固定割合・テクニカル・ATRの3つの損切りラインを、同じ値動きに重ねて比較した図 3パターンの浅い/深いの順番は一例で、銘柄によって入れ替わることもあります。

パターン1: 固定割合(初心者向け)

エントリー価格(買った価格)から一定%下落したら損切る方法。最も分かりやすいやり方です。

  • 保守的な一例: エントリーから -2%
  • 標準的な一例: エントリーから -5%
  • 積極的な一例: エントリーから -8%

例:1000円で100株買ったら、950円(-5%)に逆指値を置いておく、という具合です。

アゲハ
-2%と-5%と-8%、どれを選べばいいの? 損が小さい-2%が無難でしょ。
サチ先生
狭い幅は1回の損失を抑えやすい反面、普段の値動きでも決済されやすくなります。
サチ先生
広げると値動きには耐えやすい反面、同じ株数なら損失額が大きくなります。株数の調整とセットで考えたいですね。

パターン2: テクニカルライン

直近の安値・サポートライン・移動平均線の下などに損切りラインを置く方法です。サポートラインとは「株価が下げ止まりやすい価格帯」、移動平均線は「過去の一定期間の平均価格をつないだ線」のことです。

アゲハ
固定%と何が違うの?
サチ先生
仮説の置き方が違います。固定%は「自分の都合」、テクニカルラインは「チャートの形」から決めるラインです。
サチ先生
サポートを割るのは「上がる」という自分のシナリオ(想定した値動きの筋書き)が崩れた合図、そこで撤退するという考え方です。
押し目買いのポイントの下にある直近安値の少し下に損切りライン、上方に利確目標を置いた模式図
アゲハ
サポートラインのちょうど下に逆指値を置けばいいわけ?
サチ先生
ラインは1円単位の壁ではなく、幅のある価格帯として意識されることも多いです。
サチ先生
少し割ってから戻る動きもあれば、そのまま下落が続くこともあります。値動きの大きさに合わせて許容幅を決めましょう。

たとえば朝の高値から下げ続ける「寄り天」のような展開では、直近の安値を割った時点で早めに撤退するかどうかで、損失の大きさが変わってきます。

寄り付き直後の高値から下落が続くチャートの例

パターン3: ATR(値幅基準)

ATR(Average True Range、平均的な値幅)は「その銘柄の1日の平均的な値動き幅」を表す指標です。この値の2倍〜3倍を損切り幅とする方法で、ボラティリティ(値動きの激しさ)が高い銘柄でも機械的に決められるのが利点です。

たとえば直近5日間の値幅(高値-安値)の平均が20円だった銘柄なら、ATRは20円。これを2倍した40円をエントリー価格から引いた位置に、損切りラインを置きます。

ATRの計算例。5日分の値幅を平均してATRを求め、2倍して損切り幅にする手順 倍率(2倍・3倍)や採用する日数は一例で、銘柄のボラティリティに応じて調整します。

アゲハ
固定割合とテクニカルとATRって、どれか1つに決めなきゃダメなの?
サチ先生
1つだけに限定する必要はありません。チャート上の撤退候補を決めたあと、その損失額が許容範囲かを固定割合で確かめる考え方もあります。
サチ先生
ただし、どの方法でも損失を完全に防げるわけではありません。判断基準は事前に書き出しておきましょう。

実行の3原則

損切りの実行3原則のフロー図。①買う前に損切りラインを決める、②エントリーと同時に逆指値を入れる、③触れたら自動で決済。ラインを動かしてよいのは利益を守る上方向だけ

1. エントリー前に決める

必ず注文を出す前に損切り価格を決めること。含み損が出てから考えると、「もう少し待とう」と感情で先送りしてしまいます。

2. 逆指値注文で機械化

逆指値とは、「この価格まで下がったら自動で売る」と事前に予約しておく注文のことです。

アゲハ
自分で画面を見て、下がったら売ればいいだけでしょ。
サチ先生
手動だと、いざその瞬間になるとためらいやすいんです。数分で急落する相場では判断が間に合わないこともあります。
サチ先生
ですからエントリーと同時に逆指値を入れて、自動で決済される仕組みにしておくのが基本です。
短時間で株価が急落するフラッシュクラッシュのチャートの例

本サイトの練習画面でも逆指値注文が使えます。

3. 動かさない

アゲハ
損切りラインまで下がってきたら、ちょっとだけ下げて様子見……はダメ?
サチ先生
そこは危ういところですね。「もう少し待てば戻るかも」でラインを下げると、損切りの意味がなくなります。
サチ先生
ラインを動かしてよいのは利益を守る方向(上方向)だけ、と先に決めておきましょう。

やってはいけない損切りパターン

  • ナンピン買い(下がった所で買い増しして平均取得単価を下げる)→ 下落が続くと損失が倍増しやすい
  • 損切り後すぐ戻ったのを見て飛びつき買い(リベンジトレード)→ 頭に血がのぼった状態での連敗の典型パターン
  • 株価を見ない戦略 → 対策のつもりでも、実際はただの塩漬け
アゲハ
ナンピンって、安く買い足せるならお得じゃない?
サチ先生
下りエスカレーターで、下の階でもう1枚チケットを買い足すようなものです。
サチ先生
向きが変わらなければ、持っている枚数が増えたぶんだけ損も速く増えます。
サチ先生
感情で行う[ナンピン](/glossary/averaging-down)は避けたい行動です。
同じ下げ相場での損切りとナンピンの比較図。損切りは損失を小さく確定して以後の下落と無関係になるが、ナンピンは株数が増えた状態で下落が続くと損失が加速する

練習で損切りの感覚を鍛える

アゲハ
理屈は分かった。……けど、本番でちゃんとできる気がしないんだけど。
サチ先生
損切りは文章で読むより、実際に含み損の痛みを経験して学ぶほうが身につきやすいですよ。
サチ先生
自転車の練習と同じで、何度も転んで覚えるものです。シミュレーションなら痛みへの慣れを安全に作れます。

シミュレーションで何度も損切りを経験しておくと、本番でためらいにくくなります。本サイトでは指値注文や逆指値注文も練習できます。

まとめ

  • 損切りは退場しないための最重要スキル
  • 損失が大きくなるほど回復は困難(50%の損には100%の上昇が必要)
  • ラインは固定%/テクニカル/ATR の3パターンから選ぶ(数値はいずれも一例)
  • 事前決定・逆指値・動かさない の3原則で機械化する
  • ナンピン/リベンジトレード/塩漬けの3つは避ける。どの方法でも損失を完全に防げるわけではなく、記録と見直しを続けることが大切

執筆・運営:株トレ練習 運営

株式投資初心者向けに、チャートリプレイ形式のトレード練習と解説記事を個人で運営しています。

運営者情報を見る →
アゲハ(応援役のマスコット)

記事の内容を、実際の相場の値動きをもとにしたチャートで練習してみませんか?

上昇トレンド基礎のシナリオで練習する →

初級・1時間足

関連記事

よくある質問

損切り幅は何%にすればいいですか?

決まった正解はありません。記事では、資金に対する固定割合で決める方法、チャート上の節目で決める方法、値幅(ATR)で決める方法の3つを紹介しています。銘柄の普段の値動きの大きさに合わせて選ぶ考え方が一般的です。

一度決めた損切りラインは動かしてもいいですか?

損失を先送りする方向へ広げるのは避けるべきとされています。一方、利益が乗った後に建値方向へ引き上げる調整は、リスクを減らす目的で使われることがあります。

損切りばかり続いてしまいます。何を見直せばいいですか?

損切り幅が普段の値動きより狭すぎないか、エントリーの根拠が毎回変わっていないかを、記録から確認する方法があります。負けの回数だけでなく、ルールどおりに実行できた割合を分けて見ると原因を切り分けやすくなります。

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言や特定銘柄の推奨ではありません。掲載内容は将来の投資成果を保証するものではなく、株式等の取引には価格変動等により損失が生じるおそれがあります。練習で表示されるチャート・価格データは、シミュレーション用に生成した合成データ、または実際の市場の値動きを銘柄・日付が特定できないよう加工した派生データです。特定の実在銘柄の価格そのものではありません。詳細は免責事項をご確認ください。