この記事でわかること
・株初心者が「退場」(=資金を失って市場から去ること)につながりやすい7つの失敗パターン
・それぞれの失敗を避けるための具体的な対策
・本番でお金を失う前に、練習で失敗を経験しておく方法
この記事に出てくる用語:損切り/利確/ナンピン
株式市場で退場する人には、共通の失敗パターンがあります。逆に言えば、それを避けるだけで大きな損失の多くは防げます。今回は、質問役のアゲハと一緒に、初心者がやってはいけない7つの行動を見ていきましょう。
アゲハサチ先生。株で「退場」ってよく見るけど、あれ何のこと?
サチ先生大きな損失で資金がなくなって、株を続けられなくなることですね。面白いのは、退場する人の失敗パターンがかなり似通っていることなんです。今日はその代表的な7つを順番に見ていきましょう。テストの「よく出るひっかけ問題」を先に知っておくようなものですね。
1. 損切りしない(塩漬け)
最も多く、かつ最も致命的な失敗がこれです。
アゲハ「損切り」って、そもそも何?
サチ先生1つずつ確かめていきますね。損切りとは、買った株が値下がりしたとき、損が小さいうちに売って損失を確定させることです。逆に「下がっても、いずれ戻るだろう」と売らずに放置すると、含み損(まだ売っていないけれど出ている損)がどんどん膨らむことがあります。売れずに長く抱え込んだ株は、漬物にたとえて「塩漬け」と呼ばれます。
アゲハでも、待ってれば戻ることもあるでしょ。
サチ先生戻ることもありますが、戻らないまま下がり続けることもあります。どちらになるかは事前には分かりません。たとえば、このチャートを見てください。上に抜けた!と思って買った直後に反落する「ダマシ」という動きです。こうなったとき損切りできないと、傷が深くなりやすいんですね。

対策
サチ先生対策はシンプルですね。買う前に損切り価格を決めて、逆指値注文を入れておくこと。逆指値注文とは「この価格まで下がったら自動で売る」という予約注文です。人はいざその場面になるとためらいやすいので、あらかじめ機械に任せておく、という考え方です。
ここまでの内容を、実際のチャートで練習できます(無料・登録不要)
上昇トレンド基礎のシナリオで練習する →2. ナンピン買い
アゲハ「ナンピン」って何それ、変な名前。どういう意味?
サチ先生漢字では「難平」と書いて、値下がりした株をさらに買い増して、平均の買値を下げることを指します。実際に計算してみましょう。1,000円で買った株が800円に下がったとき、800円でも同じ数だけ買えば平均900円になります。900円まで戻れば損はなくなる、という考え方ですね。
アゲハえっ、それ賢くない? なんでダメなの。
サチ先生仮説どおりに戻れば買値は下がりますが、失敗すると持っている株が増えているぶん、損失が倍増します。沈みかけた船に荷物を積み増すようなものですね。しかも「ナンピンしたから」と、損切りできない理由を自分で作ってしまう。わたしはそこが一番やっかいだと考えています。
対策
サチ先生下がっている株への買い増しは、慣れるまではやらないと決めておきましょう。買い増すなら逆に、上昇トレンドに入ってから少しずつ買い足す「ピラミッディング」という方法があります。勝っている流れに乗って積み上げるほうが、理にかなっていると考えられます。

3. 信用取引で無理なレバレッジ
アゲハ「信用取引」とか「レバレッジ」って、ニュースで聞くけど全然分かんない。
サチ先生ここも順番に見ていきましょう。信用取引は証券会社からお金や株を借りて、自分の資金より大きな金額の取引をする仕組みです。レバレッジは「てこ」という意味で、資金30万円で90万円分の取引をすれば3倍のレバレッジ。利益も3倍になりますが、損も3倍になります。
アゲハ損も3倍……。もし急に大きく下がったらどうなるの?
サチ先生損失が一定ラインを超えると、証券会社が強制的に決済(強制決済)して、資金の大半が一気に消えることがあります。下のチャートのような突然の急落(フラッシュクラッシュ)が起きると、逃げる間もありません。借りたお金で勝負していると、この一撃が退場に直結しやすいんですね。

対策
サチ先生信用取引を考えるのは、現物取引(自分のお金の範囲での取引)で3年以上安定して結果を出せてからでも遅くはないですね。最初は現物のみ、資金の一部だけで始めるのが一つの目安とされています。
4. SNSやインフルエンサーの銘柄推奨に飛びつく
X(旧Twitter)やYouTubeには「この銘柄が急騰する!」という情報があふれています。
アゲハフォロワーが何万人もいる人が「上がる」って言ってる株なら、買っていいでしょ。
サチ先生気持ちは分かります。でも、その情報があなたに届いた時点で、多くの人はもう買い終わっていることが多いんです。つまり一番高いところで買ってしまう「高値掴み」になりやすい。話題の株が朝一番だけ高く始まり、そこが天井(寄り天)になって下がっていく、下のような形は典型例ですね。

アゲハうわ、始まった直後が一番高いんだ。……じゃあSNSは見ちゃダメってこと?
サチ先生見るのは構いません。ただ他人の推奨は参考程度にとどめましょう。自分で値動きと材料(上がる理由になるニュース)を確認してから判断すること。インフルエンサーの肩書きやフォロワー数は、あなたが勝てる根拠にはならないからです。
5. 感情的なリベンジトレード
アゲハリベンジトレードって、負けを取り返すやつでしょ。ちょっとカッコよくない?
サチ先生響きだけは、そうですね。実際は、損切り直後に「取り戻したい」という感情だけで次の取引に飛び込むことです。冷静な分析がない状態ですから、さらに損失を重ねやすい。ゲームで負けた直後にムキになって連敗するのと、同じ仕組みだと考えられます。
アゲハ……それ、ゲームでよくやるやつだ。どうすれば防げるの?
サチ先生一度損切りしたら最低30分休むこと。コーヒーを飲む、席を立つなど、物理的に画面から離れるのが効きやすいですね。さらに「1日2敗したらその日は終了」のような連敗ルールを先に決めておくと、熱くなった自分を止めやすくなりますよ。

6. ポジションサイズが大きすぎる
アゲハ「ポジションサイズ」って、何のサイズ?
サチ先生1回の取引に使うお金の量のことですね。たとえば資金100万円のうち80万円を1つの銘柄につぎ込むと、その株が急落しただけで再起不能になりかねません。一撃退場のリスクを自分で抱えている状態です。
アゲハじゃあ、どのくらいならいいわけ?
サチ先生一つの目安は1銘柄あたり資金の20%まで。さらに、1回の取引の最大損失を資金の2%以内に抑える「2%ルール」という考え方があります。資金100万円なら1回の損は最大2万円まで、ということですね。
アゲハ2%って少なすぎでしょ。それじゃ全然増えないじゃん。
サチ先生実際に計算して確かめると面白いんです。2%ルールなら10連敗しても約82万円、20連敗しても約67万円残ります。一方、毎回10%を賭けると10連敗で約35万円まで減ってしまう。まず連敗しても生き残ることが大事だと考えられます。生き残ってさえいれば、次のチャンスに挑戦できますからね。

7. 勝ちトレードを早く利確しすぎる
アゲハ「利確」って、利益を確定することでしょ。利益が出たらすぐ売っちゃダメなの?
サチ先生そのとおり、利確=利益確定です。含み益(まだ売っていない利益)が出るとすぐ確定したくなるものですが、そうすると本来もっと取れたはずの利益を逃してしまいます。損切りは遅いのに利確は早い——損は大きく利益は小さい「損大利小」という、負けやすい人の典型パターンですね。
アゲハ気持ちは分かるんだけど。どう考えればいいの?
サチ先生利確ラインも損切りと同じで、エントリー前(買う前)に決めておくこと。一つの目安は、損切り幅の1.5倍〜2倍の利益目標を置くことです。これを「リスクリワード比」と呼びます。損切り5%なら利確は10%以上、という具合ですね。こうすれば勝率が5割以下でも収支が合う計算になりやすくなります。
7つの失敗の一覧
ここまでを一度まとめます。どれも単独で起きるより、連鎖して起きるのが特徴です。
| 失敗 |
引き金になる気持ち |
資金への影響 |
先に決めておくと防ぎやすいこと |
| 損切りしない |
損を確定したくない |
大きい |
撤退する価格 |
| ナンピン買い |
平均取得価格を下げたい |
大きい |
買い増しの可否と回数 |
| 無理なレバレッジ |
早く増やしたい |
非常に大きい |
使う建玉の上限 |
| 推奨に飛びつく |
乗り遅れたくない |
中程度 |
自分で確認する条件 |
| リベンジトレード |
取り返したい |
大きい |
1日の上限回数 |
| ポジションが大きすぎる |
一度に稼ぎたい |
大きい |
1回で許容する損失額 |
| 早く利確しすぎる |
利益を消したくない |
小さい(機会損失) |
利確の条件 |
右端の列はすべて「買う前に決められること」です。 相場が動き始めてから決めようとすると、左から2列目の気持ちに引っ張られます。
総合的なメタ対策
ここまでの7つに共通して効く、土台となる対策を3つ紹介します。
ルールを紙に書く
エントリー条件・損切り条件・利確条件を紙やテキストに書いて画面の横に貼る。感情に流されそうな時、目で見て確認できます。
記録を付ける
毎回のトレードについて、エントリー理由・結果・反省点を記録する。続けるうちに自分の失敗パターンが見えてきます。
練習で失敗を経験しておく
アゲハ7つとも頭では分かった。……けど、本番で守れる自信は全然ないんだけど。
サチ先生正直に言えるのは強みだと思いますよ。本番でお金を失うと痛みが大きく、メンタルが崩れやすいものです。ですからシミュレーションで先に失敗パターンを経験しておくことをおすすめします。自転車も、転び方を知っている人のほうが大けがをしにくいのと同じですね。
まとめ
初心者がやってはいけない7つ:
- 損切りしない(塩漬け)
- ナンピン買い
- 信用取引で無理なレバレッジ
- SNSの推奨銘柄に飛びつき
- リベンジトレード
- ポジションサイズ過大
- 利確が早すぎる
これらを避けるだけで、退場の確率は大きく下がります。勝ち方を学ぶより、まず負け方を学ぶことが、株を長く続ける鍵です。
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※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言や特定銘柄の推奨ではありません。掲載内容は将来の投資成果を保証するものではなく、株式等の取引には価格変動等により損失が生じるおそれがあります。詳細は免責事項をご確認ください。